嫌ってる相手の好きなものなのに....?それを好きだと言うの....?

.......何で.....?

「何でって.....蝶の間抜けづらが見られるからに決まってるだろ。今だってまだ泣いてるし。」

"いつまで泣いてるんだよ本当に。面倒な奴だな"夜はそう言ってあたしの頭を撫でる。

「......間抜けづらって言う方が間抜けづらなの知らないわけ.....?怒」

そう言ったあたしは夜の腕をつねる。

「痛いから離せ。」

「嫌。それにこの本だってもう二度と夜が借りれないように見つからない場所に隠してやるから。」

夜が手に持っていた本を奪い取り、渡すまいとその本を抱きかかえる。

「そんなことして他に借りたい奴がいたらどうするんだよ。」

「今まで誰も借りてなかったから誰も探さないと思うけど。」

「たとえそうだとしても誰にも読まれないのもかわいそうだろ。だから元の場所に返せよ。」

「.......あたしが読むからいいの。」

「じゃあ俺も読むから元の場所に返して来いよ。」

あたしはムカつく夜を睨んだあとそのまま本を棚へと戻し、あたしたちは図書室を後にした。

.......あの本をちゃんと元の棚に戻したことは夜には言わないと心に誓った。