柏木先輩は軽く地面を蹴った。


そして、ふわっと浮いたかと思うと片手で門の上部を掴み、2メートルはある校門を軽々と飛び越えてみせた。




直後に、目標を失ったゾンビ達が鉄製の門に激突していく。


痛みを感じないであろうゾンビは、それでも指をへし折りながら、門の隙間から手を突き出してくる。


まるで、そうすれば届くと言わんばかりに、多くの血に染まった手が虚空をもがき続けていた。





……が、そこまでだった。






固い門に阻まれ、それが私達に届くことはなかった。







私達は学校から脱出できたのだ。