「ぼけっとしてんな」


「さあ、立って」


すぐさま、駆けつけてくれた純也と柏木先輩に、両側から持ち上げられ立たされた。


「澪は俺が運ぶ」


「急いで。1分、時間をかせぐ」



間を置かず純也が澪を抱え上げ、先輩がゾンビに切りかかっていった。


「……」


2人とも肩で息をしている。


戦いながらあれだけ走ったんだから当たり前だ。


とにかく逃げなくちゃ。


そんなに疲れていたら、いくら強い先輩だって1分も保つかは分からない。


私は明美のことを頭から振り払って、急かす純也に続いて校門の外に出た。


待っていたように、ガラガラと門が閉じていく。


「紫音先輩! 柏木先輩がまだ中に!」


「問題ないわ────雅くん!」


私を目で制して紫音先輩が呼びかけると、ほとんど囲まれかけていた柏木先輩は、バックステップを踏みながら一番近くのゾンビの脳天を一撃し、こちらへ向かって走り出した。


が、相当体力を消耗したらしく、その歩みは見るからに遅い。




真後ろをゾンビの群が追いすがってくる。



門まであと数メートル。



先頭のゾンビの手が背中に触れる────かに見えた瞬間。





──────トン!