「幸希ーーっっ!」


私は考えなしに叫んでいた。
ゾンビが音に反応するとか、気持ち悪いとか、同じ学校の生徒だったとか、そんなことはどうでもよかった。


すぐそこで、友達が、幸希が、砕けたガラスにまみれて横たわっている。



──助けなきゃ! 


助けなきゃいけない。












なのに……。




なのに……どうして……、血だらけの死人が私の目の前に立って邪魔をするの?


どうして、何かが強い力で、私を後ろから引きずるの。


……どうして、幸希は動こうとしないの?


どうして私の手は届かないの……。




どうして?













……ねえ、どうして?

……。

…………。














胸から何か熱いものがこみ上げてきて、視界が歪んだ。


私の意識は、そこで暗転した。