「きゃあああっ!」






時間が速度を変えた。








自分の悲鳴さえ、スローに感じられ、意識は自分すら上から見下ろしていた。


駆け出す先輩。


引き金を引く大柄な男。


走る先輩の身体中から鮮血が飛び散る。


先輩が刀を振り上げ、そして振り下ろす。


男の腕がダランと垂れ下がり、銃を落とす。


叫声を上げ、背中を向けて逃げ出す男。


それを見送ると、ゆっくり前方に倒れていく柏木先輩……。


先輩に駆け寄る私……。


血塗れの先輩の横で泣き叫ぶ私。



「先輩! いやです、死なないで」


「……」


「返事してよ! お願い!」


「……」


動かない先輩。


追い打ちを掛けるように、後方から迫り来るゾンビ。


ぐったりとする先輩を引きずる私。


バリケードの向こうに人影が見えた。





「────────!!」




近付いてくる人達になにかを叫ぶと、私はそこで、意識を手放した。