見ると、バリケード付近で見境なく銃を乱射している大柄な男がいた。


半笑いで、目がみるからにおかしい。


狂ってる……。きっとあまりの惨劇に精神が異常を来たしたのだ。


男の傍らにはうつ伏せに倒れる自衛隊員の姿が。


殺した、のだろうか……。



!?


私は息を飲んだ。


男の目が、私を捉えたのだ。


男がニヤリ、と狂気じみた笑みを浮かべる。


っ!


次の瞬間────。


響きわたる銃声。


と、同時に私の体は地面に押し倒されていた。


至近距離には、柏木先輩の汚れても綺麗な顔……。


先輩が、また助けてくれた。


でも、

「う、うっ……」


先輩の顔が苦痛に歪む。


まさか、私を庇って!?