【4月20日 教室にて数学の授業】
《花咲麻友》
目が覚めると、先生と生徒の話し声、黒板にチョークで字を書く音が聞こえた。
外では、春風が音をたてて吹いている。
私は、ひとつ大きなあくびをしながら、伸びをした。
いつの間にか寝ちゃってたんだ。
いつから寝たのか、4時限目の授業が始まってから45分が経ち、残り5分で授業が終わる。何も、聞いていなかった。
寝不足だったからな...。
今は、私が苦手で嫌いな数学の授業。
はやく、理科やりたいなー。
でも、得意で大好きな理科は、しっ
かりやっている。寝たことすらない。むしろ、目が覚める。
ノートは、開いているものの、書いていない。このことから、おそらく授業が始まってから5分以内に眠りに入ったのだろう。
「あ、麻友が起きた」
ボブヘアーの髪に、長く桃色のリボンがついたカチューシャをしている隣の席の女の子。彼女は、「瑠璃」。私の、小学一年生からの親友である。
「ノート書いてないでしょ?そりゃあそうか。始まってからグデーってしたと思ったら、寝てるんだもん。びっくりしちゃったよ」
「そうだったんだ」
「はい、ノート。家で写しなよ」
「わー、ありがとう。瑠璃、大好き」
どうしたら、こんないい子が出来上がるのか。まるで、月とスッポンである(勿論、私がスッポンである)。瑠璃は、天使だ、神だ、そんな言葉が似合っていると思う。
私は、瑠璃の数学のノートと自分のノートを机の中にしまった。
「起立、気をつけ、礼」
「「ありがとうございました」」
私の嫌いな数学の授業が終わり、45分間のお昼休み。この時間の中で、昼食を食べて休憩する。