...。

ゆっくりと瞼を開く。
｢...あっ!!目、覚めた!!!｣

｢ここは？｣
ガバッと布団から起き上がる。
｢あっあ、あんた起き上がって大丈夫～??｣

｢えっあっはい...。｣
布団から出ようとするものの、何かに引っ掛かって出れない。
引っ掛かって出れないのでふとんから出るのを諦めた私を見てお婆さんは、

｢ああ！そういえばあんたの名前を聞いてなかったねぇ、あんたの名前は?｣

｢んん...。えっとぉ...｣
何故だか自分の名前が思い出せなかった。

すると私を見かねてか、｢まぁ良いや。｣
といい

嬉しそうに
｢あんた、自分の名前が思い出せないんだろう？｣
といった。

何故だか分からなかったけど答えたほうがいいかな。
｢はい...。｣

｢私、子供がいないんだ。借金もあるから、ここで働いてくれないかい？｣

｢でも私名前が...、｣

お婆さんは難しそうな顔をして、
｢花里(はなり)って言うのはどうだい。｣
私は自分の名前が思い出せなかったからつけてくれた名前が嬉しくて、
泣いてしまった。

｢ああそんなに嫌だったかい？｣
というおばあさんに私は嬉しくてと伝えると
お婆さんはにっこり笑って
｢私の名前はね、高子って言うんだ。高子さんって呼んでねぇ～。｣