瑠那は無我夢中で走った。


息遣いはすでに荒くなっていた。

後ろから迫り来る盗賊たちは、

嬉々として追いかけているというのに!


瑠那は今日ほど己の体力のなさを
恨んだことはない。


このまま走っていても
追いつかれるのは時間の問題だ。




どうにか、
ここからくぐり抜ける方法はないのだろうかと、
瑠那は周りを見渡したが、
何もない。


相手の剣を奪って戦うか……

無理だ。

確かに中学の時の部活は剣道部だったが、
あまり上手い方ではなかった上に、
一年間やっていないのだ。