クレームの女王

麗華は静かに目を閉じた。


その様子を見届けた祐樹は
たくさんの人が駆けつけている雑踏の中に


消えていった。



朝から降る小雨が
ぼろぼろになってしまった麗華の体を



濡らしている。



血に染まった財布は
もう元には戻らない。



麗華の人生ももう決して
元には戻ることはない。



鬱々とした冬の雨は
それからもずっと降り続いていた。





<おわり>