クレームの女王

「祐樹!いつの間に盗ったのよ!
かかか…返しなさい!」


麗華が慌てふためいている。



「そ、そうか!さっき刑事が来て
私がバッグを落とした時に


抜きとったわね!」



「そうだよ」


祐樹はうなづく。


麗華は祐樹を捕まえようと
一歩一歩慎重に近づいていく。


「返しなさい!いい子だから。
それはママの大事な財布なの。


人生を変えてくれる
とっても素晴らしい財布なのよ。


返しなさい!返して!
お願いだから返してちょうだい」



麗華はじりじりと祐樹に近づいていく。




そんなママの様子を悲しそうな目で見た
祐樹は一言つぶやいた。