クレームの女王

祐樹は生まれて初めて
ママに逆らった。


わがままを言って泣いたことは
あったけど


面と向かって
ママに逆らった事は



一度もなかった。


「ママはようかいにとりつかれちゃってるんだ。


さいふとバッグのようかいにとりつかれてる。


たいじしなきゃ!」


祐樹はシャツの中から
何かを取り出した。


麗華があっと声を上げる。


色とりどりのロゴマークに彩られた
高級感あふれる財布。


ママのブランド財布を
祐樹は頭の上に掲げたのだ。