クレームの女王

「早く渡りなさい!」


麗華がそう言った。


「一緒に渡ろう!一緒に渡れば
怖くないでしょ?さあ……さあ!


渡ろう。わたってパパに逢いに行こう」




「うそつき!」




麗華が祐樹を捕まえようとするのを
すり抜けて逃げ出した祐樹は


声の限り叫んだ。



「ぼくだけパパのところにいくんでしょ?


ママはわたらないんでしょ?」


有機は涙を必死でこらえながら
ママに向かって叫んだ。