クレームの女王

二人が一歩踏み出せば
空き缶と同じ運命を辿るのは


誰の目にも明らか。


50センチ先の死線を見つめて
うすら笑う麗華。



祐樹は涙をぐっとこらえながら
道路の先を見ている。


ママはもうママじゃなくなった。


化粧を顔に塗りたくって
派手なバッグを持ったお化けになってしまった。


そんなママが赤信号で道路を渡れと言っている。
祐樹の頭の中が混乱してきた。


どうしたらいいんだろう?


ママの言うとおり渡るのか?


それとも怖いから辞めるか?



それとも…………………………