「そんな君にね?きっと欲しがってたものを特別に返してあ・げ・る!」



やつは自身の顔を照らしてた明かり−−恐らく懐中電灯をその場に投げ捨てる。
途端、パッと辺りが明るくなった。



「何だあれ……って、あ、あ……」


「君の大切な人だよね?ね?ね?」



やつは笑っていた。
狂う訳でもなく、にっこりと。
さっきの気味悪い笑みを思い出させなくするような、幸せそうな笑顔で。



「どうしたの?
君の大好きでたまらない人でしょ?
ねえ、褒めて?
あれは、今日から君のものになったんだよ」