「お人形を知っているかい?」


やつはそう言うと、明かりを自身の顔に近づけ、ニタァっと笑った。


「……もちろん、知っているが」


黒い部屋。
目がやっと慣れてきたのか、最初程は違和感がない。


やつは、馬鹿にしてるのかと言いそうになるのを悟ったのか、ブンブン首を振った。



「違うよぉ!……んーそうだなぁ、君の名前はなんだっけ」


「なんで言わなきゃならない」


「言う気がないんだぁ、予想通りつっまんない人だねー」



この、人を馬鹿にする口調。
明かりを自身の顔に近づけてニヤニヤ笑うのをまだ止めない。