あまり視線を送ると箸矢本人にも周囲にも気づかれ誤解されてしまう。
 そう思った茶碗子はすぐに視線を黒板に戻した。

 黒板を見たのは一瞬だった。

 直後。

 自分の右胸を見つめた。

 とある金曜日の朝の事だった。