「……」 机に傷が付いていない。 きっと大事に大事に使っていたのだろう。 茶碗子の知る限り他の男子の机は酷いものだ。 傷と落書きだらけである。 だが箸矢の机は傷一つない。 「……」 茶碗子は寂しさに包まれた。 きっと傷を付けるところが無かったのだろう。 八つ当たりするところが無かったのだろう。 八つ当たりの仕方を知らなかったのだろう。 孤独の抱え方だけが巧くなってしまったのだろう。 机に傷一つ付けられない箸矢が哀れに想えた。 「……」 茶碗子の机もまた傷一つ付いていない。