「……」

 喋ってみようかと想った。
 茶碗子とはあれほど喋れたのだ。
 喋ってみようと。

 「……」

 頭で考えているうちに看護士は次の患者の所へ行ってしまった。
 看護士は忙しい。
 箸矢は看護士は偉いと想った。
 自分はどうしうもないと想った。

 「……」

 左上腕二頭筋を見つめた。
 両脚は無い。
 正午。時計は十二時を示す。

 とある日曜日に昼の事だった。