いつからだろうか。 「玄関」という名の楽園に脚を踏み入れる事を一日の生き甲斐だと感じる様になったのは。 いつからだろうか。 茶碗子はそんな楽園のドアを開けた。 「ただいまあー」 茶碗子はドアを完全に閉めてから「ただいまあー」と言う様にしている。 なぜならその「ただいまあー」という声は学校や外用の声ではないからだ。 家にだけは外用の自分を持ち込むわけにはいかない。 自分が壊れてしまう。