だから、もしかしたら、って期待で心臓が音を鳴らす。
「……ほらっ。 わたし言ったよ!
次は蓮くんの番!」
「っ……おれ、の、好きな子は……」
もう、いる前提になってることには気づいてても訂正する気なかったし、
気になってるどころじゃなくて、好きっていう感情の名前を使ってることにも違和感はなくて。
「……声が、きれいで、透き通ってて、高いのに、心地よくて……」
「え。 ……そのひとの……声が、好きなの?」
「え? あ、いや、よく笑って、いつもおれの話、楽しそうに聞いてくれて……。
まだ、会ったことはないんだけど」
ここからは勢いと、賭け。
「……会える距離なんだ。
電話番号はおれん家からそんなに遠くなくて。
だから、いつか会って……ちゃんと告白したいなって」
思ってる。
そんなおれの言葉に美羽が息を飲み込んだ気配がした、
のと同時に、
「ただいま〜」
扉が開く音と一緒に、スマホを通して聞こえてきた……
「母さん……?」
記憶のなかの、母親の声。

