「……お、おれだけ言うのはずるくね⁉︎ 美羽はいるわけ?」
はぐらかして何気なく聞き返すと、スマホから流れる声がえぇ⁉︎と揺らいだ。
そう来るとは思ってなかった……みたいな声だ。
「わ、たしは……」
美羽の声がどんどん萎んでいって。
耳元に押し当てたスマホから、かすかに。
本当に小さく。
けれど、しっかりと。
「……いる、よ」
そう言った。
どくん、と心臓が跳ねる。
この熱さは、期待か、不安か。
「優しくて……お喋りが上手で、ずっと、話していたいって思うひと……」
また音をたてる、これは、きっと……期待のほう。
病気がちの美羽は、学校へは行けていなくて。
でも、病院に入院しているわけではなくて。
そう考えると、身近な男って限られてくる。

