*
プルルルル、プルルルル……
コールは大体、3回。
決まった時間に相手を電子音で呼び出す。
「っはい! 美羽ですっ!」
「もしもし、蓮です」
「蓮くん! こんにちは!」
「うん、こんにちは」
あれから、おれと電話の向こうの彼女……美羽は、こうして毎日決まった時間に通話をしている。
話す時間は20分ほど。
美羽いわく、文通ならぬ、”電話通”だとか。
そんな”電話通”をしだして、もう2週間くらいたつ。
「美羽、今日体調はどう?」
「うん、平気だよ!
蓮くんは? 元気?」
「ありあまってるかな」
「あははっ! 蓮くん部活してないもんね〜」
美羽と電話するようになって、お互いのことを色々話した。
美羽は病気がちで、あまり学校に行けていないこと。
だから話し相手が欲しかったこと。
おれが美羽に話す、なんでもない学校での日常を、いつも美羽は電話ごしでもわかるほど、にこにこの笑顔で聞いてくれる。