プルルルル、プルルルル……
コールは、3回。
「……はい、美羽です」
留守電の声と同じ、平たい声が答えた。
「……おれ、蓮」
「うん。
ありがとう、電話くれて……いま、お母さんに変わるね?」
「はっ⁉︎ おい、美羽?」
「話をしたいって言ったのは確かにわたしだけど。
……でも、その前に、蓮くんとお母さんの問題に首を突っ込んじゃった落とし前を、つけさせてほしいの。
……お願い、ばかりで、ごめんなさい。 お願いします」
美羽の声が静かにつぶやいたかと思うと、
ごとりと受話器が置かれる音がして。
少ししてから、美羽じゃない、声が出た。
「……蓮?」
「……そう、だよ……」
耳元でそっと、確かめるように、恐る恐る聞く声。
あぁ……、母さんだ。
母さんは電話じゃなんだから、直接会って話したい、と言った。
指定されたのは、おれの家の近所の公園だった。

