最初に、美羽にかけた電話を思い出す。


……いや、あのときは美羽にかけたんじゃないか。


母さんにかけたんだ。



でも何度掛け直しても、出たのは美羽で。



母さんの電話番号じゃなかったんだと落胆したけれど、

それも美羽の明るさに飛ばされて。



けど、違ったんだ。


電話番号は合ってたんだ。


ただ、おれが勘違いしてただけなんだ。

……母さんはいまもひとりだって。


母さんはとっくにひとりじゃなくなってたのに。



きっと……高瀬、って男の人と再婚して、それで、いまは美羽っていう子供もいる。



ただ、それだけ。