「ってうわ…」


俺の腕の中から抜け出した先輩は俺の肩を両手でトンと押して壁に押し付ける。

先輩の方が俺よりちょっと小さいから自然と上目遣いになっちゃうし。

こんなことで胸が高鳴る俺ほんと余裕ない。


「いっつもさあ私ばっかりドキドキさせられるからさ今日は私が皐(さつき)をメロメロにさせる」


うわ…なんてこと言うんだ先輩。ていうかそのポーカーフェイスで言うなんて狡いし、可愛いし。

先輩との距離が近くて視線を逸らすとそれを許すまいと透かさず俺の目線に合わせて来るしああもう。


「皐そろそろデレてよ」


いやそれ俺のセリフですから先輩。

こんな時でさえいつものクールな感じを崩さない先輩は「まずはそーだなあ」なんて呟いてキスでもする?と俺の唇をなぞって来た。

します、はっきりそう伝えるとやっとデレたかと少しだけ嬉しそうに笑った先輩。

だからそれ俺のセリフなんですって先輩。