「うーん...」
気持ちいい朝だ。
今日も暑くなりそうだなぁ。
そんなことを思っていたら、
ふと、壁にかかっている時計が目に入った。
ーーーーーー8:30ーーーーーー
「えっ!?」
嘘でしょ!?遅刻??
急いでリビングに向かった。
「お母さん!!今日は朝ごはんいらないから!!」
そう叫んだ。
「ん〜??何で〜??」
お母さんも寝起きらしい。
「春香もダイエットするの??急にどうしたの〜??好きな子でもできたの〜??」
その時、なぜか私の頭の中で大悟の顔が浮かんだ。
ボっ!! 一気に顔が赤くなっていったのがわかった。顔が熱い...。
「別にそんなんじゃないし!!
もう遅刻してるの!!それじゃあね。
いってきます!!」
そう言って、玄関からでようとした時だった。
「今日は夏休みでしょ?」
母にそう言われて、自分がどこまで、バカなのかよくわかった気がした。
夏休みの初日の朝とわかった私は、ゆっくり朝ごはんを食べて、夏休みの宿題の一部を終わらせようとしていた。
「よし!!国語と算数は終わり!!」
後は、塾の宿題だけ。
少し、休憩〜!!
そんな時、二つのポスターが目に入った。
私の地区の夏祭りと、学校で開催される親子祭り。
私にとって、地区の夏祭りは、特別だった。
私は、ここの地区の地区長でもあるんだなぁ。
そして、大悟は副地区長。
なぜなら、この地区には、6年生が、大悟と私しかいないから。
だから、私達は、夏祭りで司会をして、いろんな店に回って、インタビューなどするそして、それをまとめるて地区の新聞を作るために、夏休み中と、学校でミーティングをする。
全て2人だけでするから、何か、少し、ドキドキする。
それに、今年は男女の司会ということで、2人で浴衣を着ることになった。
そのお金はというと、夏祭りの費用から。
結構太っ腹なんだなぁ。そう思っていると、それだけ2人に期待してるんだから、しっかりやりな。いろんな人にそう言われた。
ちょっと休憩しようと思い、私は公園に
いった。
う〜...
結構プレッシャーだなぁ。そう思っていると、
「何か、プレッシャーだね。」
横にいた大悟が言った。
「わ!!
びっくりした〜!!」
いつの間にいたの??
でも、大悟も同じ気持ちなんだなぁ〜。
そんなことで、嬉しくなってしまう。
「私も今そう思ってたとこ。一緒だね。夏祭り頑張ろうね。」
私と一緒とか、重いかな??言ってから少し心配してしまった。
「本当だ。なんか、ちょっと嬉しいよ。ていうか、照れるね。」
そう言って、大悟は、少し顔を赤くした。
私もなんか、照れてしまって、つい話題を変えてしまった。
「えっと、今度、2人で司会の台本作るでしょ??その日にちを決めよう??」
あれ??なんで、疑問系??まぁ、いいや。
「オッケー!!いつがいい??俺は、夏休み中はそこまで予定ないから、加藤の都合のいい日でいいよ。」
あぁ。やっぱり良い人だなぁ。と思った。
「じゃあ、来週の月曜日は??」
「うん!!いいよ〜!!」
帰りの公園で、少し、夏祭りの話や、学校での話、たわいもない話。
「でさ..」
そういえば、あの事件も、この公園で大悟が目に入った励ましてくれたから、解決できたんだなぁ。
なんか、だいぶ前のことに思えた。今では、噂もないし、皆とも仲が良かった。
「...い、おーい!!どうしたの??ボーッとしちゃって??」
大悟が、顔を覗いてきた。
わっ!!近い!!
私は、びっくりして、また顔をそらした。顔が熱い...。
「え!?どうしたの??ごめん!!なんかした??」
大悟が、心配してきた。
「うん。そうだよ。」
軽くからかうつもりで言ってみた。
「え!?俺、何した??ごめん!!」
クスッ
思わず、笑ってしまった。大悟は真っ直ぐだから、信じてしまったのかもしれない。
「ううん。嘘だよ。なんか、楽しくて、からかっちゃった。」
あれ??でも、嘘だったかな??
「なんだよぉ〜。加藤でも、冗談言うんだ。かわいっ。良かった〜。」
ん??なんか、今、かわいいって言った。
大悟がハッとして、
「え、えとかわいいっていうのわ、いい意味で。っていうか、悪い意味のかわいいなんてないか。えっと..」
クスッ
戸惑う大悟に、また、笑ってしまった。
「もう。何だよ〜。」
私達はお互いの顔を見て笑いあった。ずっと、この時間が続けばいいのに、そう思った。
「なぁ、加藤ってその、す...好きな人、とかいるの??」
カァーっと顔が赤くなった。
「ううん。今のところは...」
「そっか。良かった。」
ん??なんて??最後、聞こえなかったんだけど。
っていいうか、「今のところは」っいうことは、私はいつか誰かを好きになるのかな??
また顔が赤くなった。
なんでだろう。「好き」っていうことを聞くたびに、大悟の顔が浮かぶ。
次の週。
あ、明日は大悟とのミーティングだ。大悟どうせ忘れてそうだし、電話しとこ。
プルプルプルプル...がチャッ!!
「はい。」
「あ!!大悟!!えっと、私、加藤だよ!!」
「うん。声でわかるよ(笑)。」
やっぱり、いいなぁ。大悟は。皆とすごく仲がいいから、こんな私の声も覚えてくれている。
「んで、どうしたの??」
「あ...えっと、明日、ミーティングだよっていう、リマインド。大悟、忘れてそうだったから。」
この前のことで、意識して、変じゃないかな。
「あ〜。そのことなら、ばっちし覚えてるよ。俺の家でしょ。」
「本当だ。」
こんなことで、嬉しがってしまう。
「忘れるわけないじゃん。こんなドキドキしたのなんか、初めてなんだから。」
「え?? なんて??」」
あんまり、聞こえなかったから、
「え??うわっ!!俺、つい思ったこと口に出しちゃった!! 恥ず〜!! とりあえず!!加藤は、俺の家に14:00に来るの!!わかった??」
必死に訴える大悟が、なんだか、可愛かった。
「了解。お家には誰かいるの??」
「ううん。明日は、いない。俺と加藤だけ。だから、PCも使っていいって。」
「あ、うんわかった。大悟なんか、食べたいものとかあったりする??」
「ううん。何もないよ。そんな気ぃ遣わなくていいよ。」
「わかった。じゃあ、適当に何か、持っていくね。じゃあ、また、明日!!」
「また明日。」そんな言葉を夏休み中でも言い合えるなんて、すごく嬉しいよ。
そして、むかえた、ミーティング。服は、ハイウェストのミニスカに、白いTシャツ。我ながら、ファッションセンスがないわりには、頑張ったかな(疑問系)と思った。
コンビニで見つけた、長〜いポッキーという、面白そうなお菓子を買って行った。
大悟の家はアパートだから、エントランスから、インターホンで、鳴らした。
ピロピロピロ...がチャッ!!
「あ!!加藤!!家の中結構汚いけど、我慢してね〜。」
「ううん。お構いなく〜。」
「今...」
ブチッ!!
インターホンが切れた。喋りすぎたかな??とりあえず、大悟の家に向かった。階段の途中で大悟に会った。
「あ!!加藤!今から迎えに行くって言おうと思ったのに〜。」
息を切らしているところを見ると、急いで走ってきてくれたらしい。
「そんなの気にしてくれなくて良かったのに。でも、ありがと。」
大悟の家に着き、とりあえず、お菓子を出す。
「あ、これ、面白そうだから、持ってきたんだけど。」
長〜いポッキーを出す。
箱には、ポッキーゲームに最適!!と書いてあった。
でも、私にはポッキーゲームが何かわからない。
とりあえず、これで緊張ほぐれるかな??
「ねぇ、大悟。この箱に書いてあるポッキーゲームって知ってる??」
「え...そりゃあ...うん。知ってるよ。」
「なんかね、お店に行った時に、面白そうだったから、買ってきたんだけど、そのポッキーゲームって何か知らなくて...どんなゲームなの??」
大悟の顔がカーッと真っ赤に染まって行った。
「え!?どうしたの??急に...??もしかして、今日、体調悪かった??ごめん!!私が昨日呼び出しちゃったから、無理したんでしょ??ごめんね。ごめんね。早く寝ないと!!」
大悟にそう言って、私の手やおでこを大悟のおでこに当てた。すると、大悟がいきなり立って、
「違うよ!! は...恥ずかしいんだ。
女子におでこ触られたりするのなん か、始めてだし。だから、こんなドキドキするのも初めて。それに、ポッキーゲームっていうのは、結果的に、その...お互いが...キ、キキ...キスすることなんだ。覚えててね。もう二度とこんなこと、聞かないで!!」
「うん。」
私は、10秒くらいフリーズして、顔が沸騰するくらい、熱くなった。
2人とも真っ赤のまま、ミーティングをはじめた。
「このしおりの、ひょうしの絵、どれがいい??」
「「私/俺 は、これがいいと思う。」」
ある、サンプルの絵をさした時、大悟の指と重なった。
2人とも、その場から離れた。真っ赤な顔のまま。
「よっしゃ〜!!しおり終わった〜!!次は台本だな。その、前にちょっと休憩しに、そと行かない??」
大悟がそう言ってのびをした。
「うん。そうだね。」
私達は、コンビニでアイスを買うことにした。
「ほら。これがさっきの、ポッキー...。」
と言って、大悟を呼んだ。
「あっ!!」
さっきのことをもう忘れていた。
大悟が気づいて、2人とも熱中症寸前というくらい、顔が赤くなっていた。
「き、今日、暑いね!!」
私がごまかすように言った。
「うん。」
大悟が話を合わせてくれた。
公園に着いて、いつものベンチに座った。
「夏祭り、楽しみだね。」
大悟が話してくる。
「うん!!頑張ろうね!!」
大悟がこっちを見て、笑った。
「加藤は本当に、まっすぐだな。」
大悟が言った。
「そんなことないよ!!」
「それは大悟の方だよ!!それを皆が知ってるから、皆が大悟をあんなに信頼していて、皆があんなに大悟を好きなんだよ。」
そう。ちょっと嫉妬しちゃうくらいね。
クスッ
「ありがと。照れるからもう、なしな。これは、お互い様!!」
大悟と一緒。それだけで嬉しい。心からそう思っていた。

