魔王の娘が勇者になりたいって変ですか?

「記憶を……ね……」

 白銀は、そう言って顎に手を当てる。

「さぁ、丹歌!
 あんなヤツ、さっさと片付けるわよ!」

 プレゲトンが、そう言って後部座席から丹歌の頭を足で踏む。

「プレさん踏まないでよ」

 丹歌が、そう言って後ろを振り向く。
 そして、顔を赤らめる。

「あ、今。
 パンツ見たでしょ?」

 プレゲトンがニヤリと笑う。

「見てないよ……」

 丹歌が気まずそうに目をそらす。

「スケベ……」

 プレゲトンが笑う。

「おい、お前ら戦闘に集中しろ!」

 ゼンがそう言ってふたりを注意する。

「あ、はい……!」

 丹歌が返事するとアトラク=ナクアの方を見た。
 するとアトラク=ナクアは、腕を構えている。
 そして、腕から蜘蛛の糸を飛ばす。
 丹歌は、ティーセットの炎の剣でその糸を燃やした。

「やっぱり君とは、相性が悪いみたいだね」

 白銀は、そう言って笑う。

「降参するのなら命まで奪わないわよ?」

 プレゲトンが、そう言うと白銀が笑う。

「でも、残念です。
 丹歌くん、君の相手は僕じゃありません」

 白銀が、そう言うと空を見上げた。
 するとその場所にはもう一体のフェアリーがいた。
 黒い機体に大きな鎌を持った人型のフェアリー。
 そして、紅い目をしている。

「紅い目のモルテ!」

 ゼンが、一歩下がる。

「安心して下さい。
 死ぬときは一瞬ですから!」

 白銀が、そう言うとモルテが無言でガー・ゾンボルトの背後に回る。
 そして、ガー・ゾンボルトの右腕を鎌で切断した。