魔王の娘が勇者になりたいって変ですか?

「さてさて、子どもたちは頑張っているようだね。
 僕たちもそろそろはじめようじゃないか」

 白銀が、そう言って銃を収め刀を抜いた。

「何のつもりだ?」

 ゼンが、アトラク=ナクアを睨む。

「近接と遠距離の攻撃じゃ、僕のほうが少し有利だろう?
 だから、僕も正々堂々近接攻撃で戦おうと思ってね」

 白銀が、そう言って笑う。

「ハンデのつもりか?
 いいだろう、その余裕。
 今すぐ打ち壊してやる!」

 ゼンが、そう言って槍をアトラク=ナクアに向けて投げる。

「って、槍を投げるんだね。
 槍だから突くのだと思ったよ」

 白銀が、そう言って手から糸を飛ばす。
 ゼンが投げた槍が、糸によりスピードが落ちアトラク=ナクアは、軽々とゼンが投げた槍を避ける。
 そして、そのまま刀でガー・ゾンボルトの装甲を傷つける。

「ガー・ゾンボルトの装甲に傷をつけただと……?」

 ゼンが、そう言って大きく後退する。

「この刀は、シラヌイノツルギって言ってね。
 神族に伝わる名刀のひとつなんだよ。
 天使族最強の装甲だろうがなんだろうが、傷くらいつけれるよ。
 残念だけど僕もこう見えてテオスの幹部なんだ」

 白銀が、そう言って笑うともう一撃ゼンに浴びせようとした。
 しかし、それを空から降り注ぐ銃弾により防がれる。

「この魔力……
 丹歌か?」

 ゼンが、そう言うと空には1体の機体が空に浮いていた。

「私もいるわよ!」

 少女の声も響く。

「プレゲトンか……
 結局、契約することになったのか?」

 ゼンが、小さく笑う。

「ええ。
 まぁ、私はまだ丹歌のこと認めてないけどね。
 素質があるんじゃ仕方ないわ」

 プレゲトンと呼ばれる少女がそう言って笑う。

「その機体……
 ティーセットだよね?
 テルヲくんかい?」

 白銀が、そう言ってティーセットの方に刀を向けた。

「テルヲ?
 それって、誰ですか?」

 丹歌は、そう言ってアトラク=ナクアを睨む。

「残念ね。
 この子記憶を失っているの。
 貴方なんて力を合わせた私と丹歌の前では、象に踏み潰されるアリみたいなものなんだからね!」

 プレゲトンが、そう言うとティーセットが炎の剣を構えた。