魔王の娘が勇者になりたいって変ですか?

「うーーし!
 オープンコンバットだ!」

 焔がそう言って先頭に立ち率先してニワトリをさサーチして破壊していく……

「おいおい。
 いつからフェアリー・ソウルにサーチ機能がついたんだ?」

 バルドが、そう言ってタマゴを鉄球で破壊する。
 するとパンドラ艦の整備班の班長からバルドに無線を送る。

「焔の機体にもー
 シエラの機体にもー
 サーチ機能を入れたよー」

 それは、少女のものであり声の質はシエラと変わらない歳の声。
 そして、なにより可愛らしかった。

「チルか?
 なんでまたそんなことを……
 サーチ機能は、本人の適性を考えてだな……」

 バルドが、そこまで言いかけるとチルと呼ばれる少女が答える。

「ふたりとも適性検査はクリアしたよー
 入院しているふたりに試験をしてもらってー
 ついでだから、サーチ機能を強化しちゃったー
 ふたりとも凄いよー
 適性検査は、いっかいで合格!
 脳への不可も少ない性質だし、磨けばバルドさんを超えるかもー」

 チルがそう言って笑うとバルドがニヤリと笑う。

「そいつは頼もしい限りだ」

 バルドは、そう言って一点を見つめる。

「おや?
 気づいたようだね」

 その声に焔とシエラ、かみさまと万桜が動きを止める。

「この声ってもしかして……」

 万桜の表情に笑みが浮かぶ。
 その声は、水道 白銀。
 万桜たちのクラスの担任のものだった。

「先生!」

 シエラが思わず近寄る。

「バカ!そいつは!」

 バルドが、そういうのも遅くエレメント・ノームの右腕が白銀の機体により斬られる。

「うん。
 今日のシロヌイも元気いっぱいだね」

 白銀は、そう言って笑う。

「先生……なんで……?」

 シエラが、涙目で白銀に尋ねる。

「『なんで?』わからないのかい?
 僕は、君たちの味方じゃない。
 僕は、テオス軍幹部のひとり!
 水道 白銀であり、この機体アトラク=ナクアはテオスのものだからさ……!」

 白銀は、アトラク=ナクアのカタナでエレメント・ノームの左腕を切り落とす。

「さて、次はコクピットでも……」

 白銀が、そう言うとゼンの機体、ガー・ゾンボルトが走る。
 そして、アトラク=ナクアに槍で一撃を浴びせた。

「我が名は、ゼン!
 全てを護る盾也!」