魔王の娘が勇者になりたいって変ですか?

 そして、焔は笑う。

「まぁ、ジンクスが無くても俺は強いけどな!」

「少年。
 あまり自分の力を過信するでないぞ?」

 ゼンが、そう言うと焔が笑いながら答える。

「大丈夫だって!
 なにせ俺は、負け知らずだからな!」

 するとゼンが、小さく笑って答える。

「知ってるか?
 本当の強さというものは、100の勝利を知っているモノよりも100の敗北を知っているモノの方が強くなれる場合がある」

「100回負けてるのにか?
 まるでテルヲみたいだな!
 アイツは、弱っちぃけどな!」

「うむ。
 勝とうが負けようが生きている限り生きているモノが勝者だ」

 ゼンが、そう言うとシエラがため息をつく。

「ってか、こないだ私たちテオスの攻撃で一発ノックアウトだったじゃない」

 すると焔が少し慌てる。

「あれは、油断したからだ!
 勝負が始まってないのだから敗北には、ノーカンだ!」

「不意打ちでも殺されることはある。
 戦場では一瞬の油断が命取りになる。
 それを夢々忘れるな」

 バルドが、そう言うと焔は真面目な顔でうなずく。

「わかってる。
 もう二度と油断しない」

 するとパンドラ艦内に警告音が鳴り響く。

「なんだ?
 なにがあった?」

 ガウルが、そう言うと無線でレインにつなげる。
 するとレインが、直ぐに返事をする。

「移動要塞カリスです!
 カリスが、攻めてきました」

「攻められる前に攻めてきたか……?」

「そのようです……」

 レインが、ため息をつく。

「わかった。
 ただちに出撃する」

 ガウルがうなずくと。
 ゼンが答える。

「こちらも応戦しよう」

「ああ。頼む」

 ガウルが、うなずくとそれぞれ出撃口に向かった。