万桜が向かったのは星城学園。
 人々を苦しめた神々を数々倒したモノたちが、数多く在籍していた。
 そして、人々はそのモノたちを称えこう言った。
 
 ――勇者――

 万桜が、今は亡き母親に読んでもらった絵本には数々の勇者が存在していた。
 優しく暖かく……
 そして思慮深い。
 万桜は、そんな人になりたかった。
 しかしながら、万桜は魔王の娘。
 魔族の中には人類の世界に潜り込み混沌を産もうとするものもいた。
 また逆もある。
 神族でありながら、人類に味方するものもいた。
 人々は、その神族を天使と呼んでいる。
 人類は、魔族の技術と天使の知恵がなければフェアリーを生み出すことは出来なかったと言われている。

 万桜が学校に到着し教室に着くと万桜の親友である、シエラ・シエルが万桜に挨拶をする。

「万桜ちゃん。
 おはよう!」

 万桜は、とびっきりの笑顔で答える。

「シエラちゃん、おはよう!」

 万桜にとって人間との生活は斬新なもので真新しくすべてが新鮮だった。
 なによりそれが楽しかった。

「冬休返上で授業ってなんだか嫌だね」

「そうね。
 でも、昨日のお餅つきの大会は楽しかった」

 万桜が、そう言うとシエラが笑う。

「万桜ちゃん、お餅初体験だったもんね。
 万桜ちゃんのいたところでは、お餅ってなかったの?」

「うーん。
 あるかも知れないけど食べたことはなかったのよ。
 日本で言うところのピクルスみたいいなものかな……」

「あはは。
 なんか、わかるようなそうでないような例えね」

「そう?」

「うん!」

 シエラが笑うと万桜も笑う。
 すると廊下が騒がしくなる。

「なんだろう?」

 万桜が首を傾げるとシエラが、駆け足で廊下に向かった。