万桜は、焔とシエラに案内され食堂へと向かった。
 するとそこには先客がいた。
 その先客の頭の上には天使の輪っかのようなものがあった。

「シエラちゃん離れて!
 この人、神族よ!」

 万桜は、そう言って刀を……音々斬丸を召喚した。

「うむ。
 このカレーライスはいつ食べても絶品だな」

 先客は、そう言って動じることなくカウンターテーブルに置かれたカレーライスを口に運ぶ。

「あ……
 万桜ちゃんこの人は……」

 シエラが、そこまで言いかけると万桜は問答無用で鞘から音々斬丸を抜く。

「問答無用!
 天使の輪っかがあるこの人は、神族!
 私たちの敵よ!」

「うむ。
 このらっきょうも絶品だ」

 先客は、万桜のことなど全く気にしてはいない。

「貴方の目的はなに?
 どうしてここにいるの?
 あの光はなに?」

「うむ。
 この福神漬も絶品!」

 万桜は無視されていることに腹を立てたのかその先客に向かって音々斬丸を構え駆けた。

「覚悟!」

 万桜は、先客を斬ろうとした。
 するとその先客は片手で、音々斬丸を受け止めた。

「少し落ち着かないか?
 万桜よ」

「どうして私の名前を?」

 万桜は、そう言って先客を睨んだ。

「ふ……
 友よ、余の名前を忘れたか?
 それとも余の存在は主の記憶から消えたか?」

「貴方一体……」

 傲慢な態度に傲慢な口調。
 万桜は、驚いた口調でその男を見る。
 そして、男は偉そうな口調でこう言った。

「ならば余の名前を改めて教えてやろう!
 余の名は、大神 神(おおがみ しん)!
 余のことは親しみを込めて『かみさま』と呼ぶことを許すぞ」

 かみさまとなのる男は、そう言って水を一気に飲み干した。