こんなんなら、美人じゃなくてよかった。人と仲良くできるほうがよかった。

世界で一番大好きなお母さんに嘆いた。


『言われのないこと言われて、それがカンナになってしまっているなら、もう、好き勝手にすればいいじゃない。我慢したところでカンナの噂がなくなるわけじゃないし、自由に生きちゃいなさいよ。
 カンナの美人なところはカンナの武器よ。カンナは屈せず背筋伸ばして歩きなさい』


母は強かった。

心にずどんと響いた。


『あ、でも、男関係だらしないのはいやよ?』