「おかあさん?ねぇ、おかあさん?」

私は必死に母さんに問いかけた。

「なんで無視するの?お耳聞こえなくなっちゃった?」

私は母さんの顔をのぞき込んだ
母さんは、タバコを吸いながら舌打ちをし

「早く、夕食つくりな!」

と、怒鳴った。

「で、でも、作り方分かんないよ…」

いきなり怒鳴られて私は、後ずさりしながら言った。
あぁ、今日は怖い母さんの日だ。
そう私は思った

「そんなもん、調べて作ればいいだろ
ほら!」

母さんは、私にスマホを投げてよこした。
びっくりして私は、取り損ねてしまって
スマホを床に落としてしまった。
大きな音がした。

「何落としてんだい!!壊れたらどうすんだ!!」

母さんは、狂ったように怒鳴った。
今思えばあの大きな音は、スマホが落ちた音ではなくて、母さんが机を叩いた音だったかもしれない。

「ご、ごめんなさい!」

急いでスマホを拾ってキッチンに向かって走った。
遠くからまた母さんの怒鳴った声が聞こえた。

「家ん中走んじゃないよ!」

私は、急いで早足に切り替えた。
今日は、パチンコというのに負けてきたんだろう。
すぐそう私はそう悟った。
今日はわがまま言ってはダメの日。
ご飯を作って食べたらすぐに、上に行こうと思った。
私は急いで夕食を作った。
手を切ろうが、火傷をしようが、大きな声は出してはいけない。
手を切ってしまったらポケットに入っている絆創膏をした。
やけどをしたらハンカチの中に氷を包んで
やけどしたところに当てて結んだ。

「ただいまー」

低い声が玄関から聞こえてきた。
兄さんの声だった。

私の兄弟は年が離れていて、20歳と17歳兄がいる。

20歳の兄は独り立ちしていて私は1年間あっていない。
17歳の兄は、高校生だが不登校というのになっていた。
17歳の兄は私に暴力を振るった。
目が合ったら殴られた、ぶつかってしまったら意識がとぶまで殴られて蹴られた。

「はやく、はやく、はやく、」

私は、いっそう料理のスピードをあげた。
手と足が震える涙が出てきた、
それでも手を止めず料理を続けた

「で、できた、はやく、しなきゃ」

皿に盛った料理をテーブルに運んだり、
食べる準備を進めた
準備ができたら、まず母さんを呼びに行った。

「お母さん、できたよ、」

恐る恐る話しかける。

「おっそいわね!もう時間ないじゃない」

ブツブツいいながら立ち上がり私の横を通りながら、腕を思いっきりつねられた。

「!?」

「ふっ」

いきなりで声を出しそうになったけど、必死に息を止めた。
それを見て母さんは楽しそうに鼻で笑った

「はやく、龍のこと呼んできな」

私は、母さんが呼んできてといいたかった
でも、そんなこと言ったら殴られる。

「はい…」

怯える私を見て母さんはまた、楽しそうに笑った。

二階にあがって、兄の部屋をノックする。

「に、兄さん…ご、はん、できたよ」

つまずきながら問いかけた、

「あぁ」

低い声が聞こえてくる
良かった今日は機嫌のいい日なんだ。
ほっと胸をなでおろし
急いで階段をかけ降りた。

ダイニングに行ったら母さんはもう食べていた。
私の席に座って手を合わせようとすると
母さんがぼそっと言った。

「あんたと一緒に食べたくないからキッチンで立って食べて」

私を睨みながらくいっとキッチンを見た

は?なんで?
そう思ったけど、口には出さない

「…はい…」

ご飯茶碗の上に米をのせておかずを取ろうとすると

「おかず、もったいないから食べんな」

後ろから低い声が聞こえた。
ビクッと、肩がなった

「は、はい」

私は震えながらキッチンへ行き米だけを食べていた。
何分かしてダイニングから声が聞こえた。
耳を傾けてみると
それは、賑やかな、仲のいいごく普通の家族の話だった

「きょうさぁー友達がさぁ万引きしてきてまじで、馬鹿じゃんって思ったわw」

「あらぁ、その友達すごいわねぇー
あんたは、やんないでよ?」

「やんねぇーよ笑、てかそいつの万引きの理由イライラしてたからだって俺はもう間に合ってるし笑」

「あぁ、そうね、あの子がいるもんねぇ」

「てかさ、あいつの話やめね?
飯がまずくなる、あ、そうそう今日させんこうにあってさ、強制的に学校連れていかれそうになったんだよね」

「まぁ、その先生名前なんていうの?」

「田中、あれだよ、はげの」

「あぁ、明日文句言ってくるわね」

「ア゙ア゙!ハゲの話してたらイライラしてきた」

「あら!もう、行かなきゃじゃあね、」

「おぅ、行ってらっしゃい」

―やばい…
兄さんが来る

「おい!どこいった!?ぶす!」

兄さんが呼んでいる
行かなきゃ、でも、足が震えて動かない
ドスドスドス
こっちに向かって大きな足音を立たせながらやってくる。

「てめぇ、返事しろよ!ぶす!」

鬼のような顔をして叫んでくる

「…ご、め、…な、さい」

震える全てが兄さんは楽しそうに私の胸ぐらを握って腕をふりおとした…