婚約者は突然に~政略結婚までにしたい5つのこと~

「お兄さん!カマキリ捕まえたー!」

満面の笑みを浮かべて双子達が部屋へ飛び込んで来た。

オーマイガっ!

葛城の膝に座っている私を見て双子達はキョトンとしている。

「お姉ちゃん、何してるの?」

曇りなき目で尋ねられて、私はビシっと固まる。

「抱っこしてるんだ」

葛城は落ち着きはらった様子でキッパリと言う。

「ええ?!大人なのに変じゃねえ?!」空良は驚いたように言う。

「大人もな、たまには抱っこするんだ。でも変だから皆コッソリ抱っこしてる。だから見たことないだけだ」

「へえ!そうなんだ!」空良は素直に聞き入れる。

「パパとママには内緒だぞ?お姉ちゃんが恥ずかしい思いをするからな」

「うん!わかった!」双子達は元気良く頷いた。

「どれ、クワガタを見せてみろ」カマキリだよーと櫂に突っ込まれる。

どうやら、葛城も少しは動揺してるようだ。

櫂は得意気に虫カゴの中を見せる。

「おお、随分おっきなカマキリを捕まえたな」

ちなみに私は虫が大嫌い。凄いねー、と言いながら葛城の影にそっと隠れた。

「そろそろ夕方だからヒグラシなんかも捕まえられるぞ」

「うっそ!」双子達は目をキラキラ輝かせる。

「家の裏手の木にたくさんいるから行って来い!」葛城が例の絶対的な笑顔で双子達に指示をする。

ヒグラシ捕まえに行こうぜ!と、テンションマックスのまま双子達は部屋から出て行った。