失礼します、と言って私はドアを開けた。
Yシャツの第二ボタンまで外し、先ほどより寛いだ姿の葛城父がソファーにゆったり掛けている。
「どうしたんだい?遥さん」
リラックスしているところへ突然お邪魔したというのに、葛城夫妻は嫌な顔せず心良く出迎えてくれた。
「どうぞ、遥ちゃん、座ってちょうだい」葛城母がソファーに座るよう促してくれた。
私は勧められるまま、葛城父の向かいのソファーに腰掛けた。
「突然お邪魔して申し訳ありません。実はお二人にはお礼を言いたくて」
「お礼?」葛城父は首を傾げる。私はこっくりと頷いた。
「我が家の借金を肩代わりしていただいただけではなく、私の大学の費用まで工面していただいてどうもありがとうございました」
私は深々と頭を下げる。
「たくさんの事を学び、多くの友人に出会い、充実した大学生活を送らせていただいています。本当に感謝しております。ありがとうございます」
「その事か」葛城父は顎に手を置いて少し考える素振りを見せる。
「実はね、私達が学費を負担している訳じゃないんだよ」
「え…?じゃあ、誰が?」思いがけない台詞に思わず聞き返してしまう。
「匠だよ」
想定外の台詞に私は茫然とする。
Yシャツの第二ボタンまで外し、先ほどより寛いだ姿の葛城父がソファーにゆったり掛けている。
「どうしたんだい?遥さん」
リラックスしているところへ突然お邪魔したというのに、葛城夫妻は嫌な顔せず心良く出迎えてくれた。
「どうぞ、遥ちゃん、座ってちょうだい」葛城母がソファーに座るよう促してくれた。
私は勧められるまま、葛城父の向かいのソファーに腰掛けた。
「突然お邪魔して申し訳ありません。実はお二人にはお礼を言いたくて」
「お礼?」葛城父は首を傾げる。私はこっくりと頷いた。
「我が家の借金を肩代わりしていただいただけではなく、私の大学の費用まで工面していただいてどうもありがとうございました」
私は深々と頭を下げる。
「たくさんの事を学び、多くの友人に出会い、充実した大学生活を送らせていただいています。本当に感謝しております。ありがとうございます」
「その事か」葛城父は顎に手を置いて少し考える素振りを見せる。
「実はね、私達が学費を負担している訳じゃないんだよ」
「え…?じゃあ、誰が?」思いがけない台詞に思わず聞き返してしまう。
「匠だよ」
想定外の台詞に私は茫然とする。

