婚約者は突然に～政略結婚までにしたい５つのこと～

しかし、双子達は眼の色を変えてこちらへ向かって走ってくる。

子どもにも金銭欲はしっかりとあるらしい。

二人は競い合いほぼ同時に葛城のところへ駆けつけた。

「うん、なかなか早いじゃないか」葛城は満足気にニッコリと微笑む。

「どっちが早かった？！」櫂が息を切らしながら言う。「俺だよね！お兄さん」空良が言うと「何言ってんだよ！俺だろ？！」とムキになって櫂が言い返す。

これは「俺だ」「俺だ」と言い合って喧嘩になるパターンだ。

「二人とも早くて解らなかった。ここは引きわけだな」なんだよー、と双子達は不満気にブーブー文句を言う。

「だけど、お前たちがここまで早く走った事に対しては評価する。このスーツケースを家まで運べば二人に小遣いをやろう」

走らされて招集を掛けられた上に荷物運びって…。

なんか、それって全然お得な取引じゃない気がする。

しかし双子達はスッカリその気になってスーツケースを運び始める。空良が取ってを握ってひっぱり、櫂が後ろからスーツケースを押して協力的だ。

「じゃあ、行こうか遥」葛城はニッコリと微笑む。

この男にかかっては９歳の小学生ですら部下になってしまう。