婚約者は突然に～政略結婚までにしたい５つのこと～

そして、それから月曜日

先週の土日は日舞の発表会があったので、慌ただしかった。

リフレッシュするどころか疲れ果てて、朝を迎える。

最寄のコンビニで栄養ドリンクを買って出勤した。

「おはようございまーす」

なんだか今朝のオフィスはざわついていて慌ただしい。

トラブルでもあったのかしら…。

パソコンを開き栄養ドリンクを飲みながら溜まったメールをチェックする。

しかし、トラブル報告などのメールは見当たらなかった。

代わりに「グループ執行役員着任のお知らせ」という標題があったので内容を確認する。

どうやら、本日付けで新しい役員が我がマテリアル部門へ着任するらしい。

朝礼で着任者の挨拶があるので、男性陣はそわそわしているようだ。

ま、私のようなしがないOLにはあまり関係ない話よね。

私は残った栄養ドリンクを一気に飲み干した。

「全体朝礼を始めます！」

鉱物資源事業部桶川部長が招集を掛けると、グループ社員一同が起立して、見晴らしのよい窓側へわらわらと集まっていく。

香織とユミに手招きされたので、人の間を縫ってコソコソと隣まで移動した。

「えー本日付で着任されます役員をご紹介したいと思います」

司会を務める桶川部長に紹介されて、長身の男性が前へと歩み出た。

「随分若いじゃない」ユミの隣に並んでいる香織がボソリと呟いた。

新役員の顔を見て私は卒倒しそうになる。