婚約者は突然に~政略結婚までにしたい5つのこと~

チンとベルが鳴り、エレベーターは一階に到着し扉が開いた。

恥ずかしさのあまりに私はそそくさとエレベーターから降りた。

「小坂さんデリカシーなさ過ぎです!そしてセクハラです!」

「ごめんごめん。俺ってお茶を濁した言い方が苦手なんだよねー!」

私が遺憾の意を申し立てても、あははー、と悪びれなく笑い飛ばす。

「で、ホントのトコどうなの?」

総さまの不躾な質問に私は水から出た金魚のように真っ赤になって口をパクパクさせた。

その様子を見て総さまは更に声をあげて笑った。

「もうつけ麺いらないです!」私がプリプリ怒って帰ろうとすると「怒るなよー小森ちゃん」と言って総さまが後を追いかけてくる。

私達はギャーギャー騒ぎながら会社のロビーを出て行った。


結局総さまは私を宥め空かして、つけ麺屋さんに連れて行く。

出て来たつけ麺は和風出汁の濃厚な付け汁にほんのり柚子が香り、弾力のあるモッチリした太麺と相性抜群だ。

大盛りをペロリと平らげると男性陣は驚いていた。

悔しいけど、この日食べたつけ麺は人生で一番美味しかった。