食事が終わると、寝る支度を整えてクウィーンサイズのベッドに横たわる。

ちなみにこのベッドは俺が購入したものだ。

シングルベッドのマットレスに二人で寝るなんて正気の沙汰とは思えない

明らかに部屋の雰囲気と広さにそぐわないクウィーンサイズのベッドに遥はぶーぶー文句を言って来たが無視した。

しかし、一旦使ってみるとかなり寝心地がよいみたいで、今では遥もすっかり気に入っているようだ。

俺がタブレットをいじっていると、遥がベッドに潜り込んで来た。

「何見てるの?」

ニューヨークで暮らす物件を探してたので思わず閉じた。

「…エロ動画」慌てて誤魔化す。

「ちょっと!私のタブレットで変なもの見ないでよ!」

遥はプリプリ怒りながらタブレットを取り上げた。

タッチパネルを指で操作してピクリと固まる。

「嘘ばっか」と言って今しがた開いたページを表示させて俺の方へ向ける。

恐らく、履歴から検索したようだ。

「もう、心はすっかりニューヨークなんだね」遥は寂しそうに目を伏せる。

「そろそろ準備もしないといけないから」

「そうだよね…」と呟くと、ギュッと口を横に結ぶ。

『行かないで』

その言葉を必死に我慢してるのだろう。

「寂しくなったら電話して。つか、俺が電話しちゃうかも」

遥はクスリと笑った。

「今はSkypeもあるからお互いの顔を見ながらテレビ電話だって出来る。しかも無料だ」

「便利な世の中ね」

「アプリをダウンロードしておいたからタブレットで通信しよう」遥は強張った顔でこっくり頷く。