婚約者をお披露目するパーティーの晩、あろう事か絵梨は会場であるホテルに併設されたイタリアンレストランに乗り込んで来た。
聡明で快活な絵梨が嘘のように取り乱す姿を見て、俺は呆然とする。
此処まで自分は彼女を追い詰めていたのか。
「大きな声で騒ぎたてるのは止めていただけませんか」
その時、小森遥が一歩前に進み出て毅然と言い放った。
その小さな背中に俺は思わず縋りたくなった。
こんなに誰かを頼もしく思ったのは人生初の経験かもしれない。
逆上した絵梨に平手打ちを食らっても、小森遥は涙一つ浮かべることなくジッと耐えている。
本当は泣き虫なのに。
小森遥は終始冷静な態度を貫いて絵梨が帰るよう促した。
一方俺は情けないほど冷静さを欠いて、罪悪感から絵梨の後を追いかけようとした。
「行っちゃ駄目」
不意に小さな手が俺の上着をギュッと握り締めた。
「貴方が葛城家を捨てる覚悟がないなら、彼女の後を追うべきじゃないような気がします」
大きな目がジッと俺を見つめる。
その覚悟はあるのですか?
そう尋ねられているような気がした。
「ある」と答えれば小森遥はきっと手を離していただろう。
絵梨は可愛いし大好きだ。
だけど、俺には全てを捨てる覚悟など到底出来てはいなかった。
実ることのない秘められた恋に逆上せていたんだな、と目が覚める。
ふわふわとした感覚から一気に現実に呼びもどされた気分だった。
聡明で快活な絵梨が嘘のように取り乱す姿を見て、俺は呆然とする。
此処まで自分は彼女を追い詰めていたのか。
「大きな声で騒ぎたてるのは止めていただけませんか」
その時、小森遥が一歩前に進み出て毅然と言い放った。
その小さな背中に俺は思わず縋りたくなった。
こんなに誰かを頼もしく思ったのは人生初の経験かもしれない。
逆上した絵梨に平手打ちを食らっても、小森遥は涙一つ浮かべることなくジッと耐えている。
本当は泣き虫なのに。
小森遥は終始冷静な態度を貫いて絵梨が帰るよう促した。
一方俺は情けないほど冷静さを欠いて、罪悪感から絵梨の後を追いかけようとした。
「行っちゃ駄目」
不意に小さな手が俺の上着をギュッと握り締めた。
「貴方が葛城家を捨てる覚悟がないなら、彼女の後を追うべきじゃないような気がします」
大きな目がジッと俺を見つめる。
その覚悟はあるのですか?
そう尋ねられているような気がした。
「ある」と答えれば小森遥はきっと手を離していただろう。
絵梨は可愛いし大好きだ。
だけど、俺には全てを捨てる覚悟など到底出来てはいなかった。
実ることのない秘められた恋に逆上せていたんだな、と目が覚める。
ふわふわとした感覚から一気に現実に呼びもどされた気分だった。

