婚約者は突然に~政略結婚までにしたい5つのこと~

会場は所謂大衆居酒屋ってやつで店内は客でごった返し、異様に騒がしかった。

「ビール一杯180円って…これ本物のビールなのか」

俺は壁に貼られたメニューをギョッとした表情で見つめる。

「これだからお坊ちゃまは」

連れの友人、稜は呆れたように鼻で笑う。

飲み会が開催されているのは奥の席らしい。

うるさいのですぐ解った。

「小森遥ってどの子?」

参加者であろう女の子に尋ねると、真っ赤になりながら教えてくれた。

「ありがと」と言って微笑むと更に赤くなって嬉しそうににっこり笑っていた。

こうゆう女の子のリアクションは可愛いらしい。

小森遥を探しに奥の席へ向かって歩いて行くとクラスメイトである中谷佑介の姿が目についた。

「おや、これはこれは、中谷くんじゃないか」

「葛城、お前どうしてここに?」

中谷は眉根を寄せて、明らかに迷惑そうな顔をする。女でも口説いてたのだろうか。

「人を探しに来た。小森遥という女子はどの子だ?」

「もしかしてこの子?」

もう一人の友人、駆は側にいた女の子の顔を覗き込んだ。

うん、ゆるふわな感じでなかなか可愛い。胸も大っきいし。

少し期待に胸を弾ませたが「ハズレー」とすげ無く返される。

「まさか、この地味な女か?」稜は隣にいた女の子を不躾に指さした。

茶色く長い髪は伸ばしてる、というよりも伸びちゃった、という方が正しい感じ。

よく言えば華奢、悪く言えば痩せっぽっちで胸もなく貧相だ。

デニムにオフホワイトのニットを合わせ、色気が無くて野暮ったい。