同じ大学に入学した婚約者を気まぐれで見に行こうと思った。
婚約者は、東栄大学経済学部の1回生で名前は「小森遥」というらしい。
大学の入学金を支払う時に、署名をチラっと見かけた。
会ったこともない婚約者の学費を払う…なあんてハタから見れば足長おじさん的な慈善行為に見えるだろう。
だけど、人助けなんてとんでもない。
父親は高校卒業と同時に我が家に見ず知らずの他人を花嫁修業と称して招き入れようとした。
聞けば、俺と同じ大学に入学しようとしてたらしいが、父親の借金で進学を断念せざる得ないらしい。
渡りに船とはこの事だ。
学生時代くらいは自由に過ごしたかった俺は、細々と貯めた金で学費を負担してやることにした。
目的は学業に専念することを口実に、花嫁修業を延期させること。
勿論、婚約者の為じゃない。
俺は4年間の自由を金で買ったのだ。
婚約者にさほど興味もないけど、不器量だったら事前にある程度心の準備が必要だ。
ま、それでも四葉銀行頭取の孫なら結婚するけどね。
悪友2人を引き連れて、小森遥が参加しているという飲み会に乗り込んでいく。

