婚約者は突然に~政略結婚までにしたい5つのこと~

「アメリカって…アレですよね!50の州及び連邦区から成る連邦共和国で首都はワシントンD.C.。総面積985万 ㎢の世界第3位又は第4位、人口約3億人の世界第3位、GDPは約15兆円で世界第一位。正式名称United States of America、の事ですよね」

涙を我慢しようとして私は無駄な知識を脈絡なく披露する。

「ウィ…Wikipedia?」思わず匠さんが突っ込んだ。

「近いじゃないですか!アメリカ!日本との時差14時間、フライト時間も14時間、航空券は15万円程度(燃油サーチャージ込)ですよ?!もう昔の人が熱海に行くくらいの感覚ですよ!」

私はあはは、と笑い飛ばそうとするが顔が歪んで、堰を切ったように涙がボロボロ零れ落ちた。

もう、完全に取り乱している。

「遥…」

匠さんはローテーブルを一跨ぎして、すぐ側までくると私を抱き寄せた。

「遥も一緒にアメリカに行かないか?」

離れたくない…私も匠さんと一緒に行きたい…

匠さんにしがみつこうとするが、何とか踏みとどまって、そっと身体を引き離す。

「私は行けません。匠さんが入学させてくれた大学をきちんと卒業しなきゃいけないので」

「なんだ、知ってたんだ」匠さんは苦笑いを浮かべた。

「友人に囲まれ色々な事が学ぶことが出来て、とても、とても感謝しています。ありがとうございます」

私は泣きながらもなんとか笑顔を作ろうとする。

きっと変な顔になってるだろう。

だけど匠さんは辛そうに眉根をよせて無言で首を横に振る。

「た、匠さんは自分で決めた道を頑張って進んでください。でもって一皮剥けて更にいい男になって帰って来てください」

涙でボロボロの顔を上げて葛城を見据える。

「私は待ってますから」

「遥は離れていても平気なの?」

「もちろんです。全然平気です!だって私たち結婚するんですから!」

そう言いきった側から、涙が溢れてくる。