婚約者は突然に~政略結婚までにしたい5つのこと~

私はルームウェア、匠さんは帰宅したままの格好でソファーに向き合って座る。

「で、最終面談はどうでしたか」

私は胸の前で腕を組み、先制パンチをお見舞いした。

「大体、解ってるみたいだね」葛城は小さくため息をつき苦笑いを浮かべる。

私はこっくり頷いた。

「受かったよ。契約書にサインしてきた」

匠さんは抑揚のない声で結果を告げる。私は心臓をギュッと鷲掴みされたような痛みを胸に覚える。

「それで、いつからアメリカへ行くんですか」

「研修が始まる9月に行く予定だ。もう卒業出来る単位は取ったから大学にはいかない。卒業式の時には一旦戻るけどね」

事務連絡を伝えるように匠さんは淡々と話す。

もう全て決まってるんだ。

くらりと眩暈がした。

「随分…急な話しですね」絞り出すような小さな声で言う。

「黙ってて悪かったと思う」

「…本当です」

私は憮然とした態度をとる。

どうして、私には教えてくれなかったんんですか?

私は匠さんにとってどうでもいい存在なんですか?

思わず涙で視界がぼやける。

『応援してやりな』

たま子師範の台詞が頭を過り、喉まで出かかった恨みごとを、なんとか口に出さずに飲み込んだ。

「だけど、匠さんが自分で選んだ道だと思うので頑張ってください」

私はなんとか表面上は笑顔を取り繕って、大嘘をつく。

「随分、あっさりしてるんだな。もっと責められるかと思ってた」

匠さんは戸惑ったように苦笑いを浮かべる。

ここで泣いちゃだめだ。