婚約者は突然に~政略結婚までにしたい5つのこと~

「出来るよ、きっと」たま子師範は柔らかく目を綻ばせる。

「そのための花嫁修行をしているんだろ?坊ちゃんがアメリカに行ってる間に、あんたも支えていけるだけの女に成長して、帰って来た時に向かい入れてやればいい」

匠さんの力になりたいけど、今の私がしてあげられることはきっと何もない。無力な自分にまた泣けて来た。

唯一出来る事と言えば、匠さんが自分自身で決めた道へ進むことを笑顔で応援してあげることだけだ。

「遥はいつも一生懸命だから、笑顔を見ているだけで元気が出る。そんなあんたの健気な姿にきっと坊ちゃんも励まされていると思うよ」

たま子師範は人生の酸いも甘いも知り尽くした年配のご婦人特有の柔和な笑みを浮かべる。

いつも鬼のようだけど、こんな優しい顔もする人だったんだ。

私もいつかこんな風に微笑むことが出来るのだろうか。

「精進しなさい、遥」

「はい…」私は泣きべそをかきながらこっくり頷いた。

「そんな訳で次回からはまたビシビシしごいて行くからね」たま子師範は一転、鬼の視線に戻る。

「か…覚悟してます」私が怯えた表情で言うと、たま子師範はまたおかしそうに笑った。