パーティーはつつがなく終了し、私は精魂が尽きた。

本当に今日は色々な事があり過ぎた。

ぐったりした私を見て不憫に思ったのか、葛城父は気を効かせてホテルの部屋を一室とってくれた。

いつもなら遠慮していたところだけど今日は素直に甘えることにした。

サロンで着物を脱ぎ私服のシャツワンピースに着替えると、帯の締め付けがなくなり大分楽になった。

気が緩んだ瞬間、腹の虫がぐう、と鳴る。

緊張してて気づかなかったが、夕飯らしきものは殆ど口にしていないかった事を思い出す。

お腹空いたな…。

でも、ホテルの食事は高い。かといって、外のコンビニやファストフードへ行く気力もない。

どうしたものかと逡巡していると携帯が鳴った。

ディスプレイを見ると葛城からの着信だった。

今日一日こいつに振り回されたな…と思うと、話すのも億劫になり、そのままポケットに携帯を突っ込む。

「シカトかよ」

突然、目の前に葛城が姿を現し、私はビクっと身体を強張らせた。

「あ、あれ今電話しなかった?」

「電話をしながら突然登場して、おどかそうと思ったんだ」

電話しなくても充分驚いた。

「で、なによ?」

私の無愛想さに、葛城は不満気に目を細めたが「ま、自業自得か」と呟いた。

ああ、そうか。葛城さんは傷心なんだ。

でも今ここにいるって事は絵梨に連絡しないで、私の所に来てくれたということになる。

まだ少し赤い右頬を見て、尊大な態度をとったことに少し後悔する。

「お腹空かない?」

葛城に尋ねられて私はこっくり頷いた。