婚約者は突然に～政略結婚までにしたい５つのこと～

一先ず中央テーブルにある料理をつまみながら、周囲の人達がどういう対応をとっているかを観察することにする。

取引先の人と見受けられる中年からご年配までの人が多かったが、葛城と同じ二世三世なのか私と同世代くらいの人もチラホラ見受けられた。

その中で壁際にポツンと一人たたずむ女の子の姿が目に着いた。

私と同じ歳、もしくは年下であろうその女の子は、華やかなパーティー会場の雰囲気に気おくれしているのか心許ない様子で辺りを見渡している。

なんだかシンパシーを感じてしまい、私は女の子の方へ歩み寄って行く。

「こんにちは、楽しんでますか」

女の子はキョトンとした表情で私の顔を見つめる。

近くで見るとサーモンピンクのドレスに身を包み髪を緩く巻きハーフアップにしており、いかにも品性のある愛らしい顔立ちをしていた。

「私は小森遥と申します。あなたのお名前を伺っても？」

「月岡彩と申します」彩、と名乗る女の子はおっとりとした柔らかい口調で名前を告げる。

「お一人で来られたの？」

「いえ、その、友人とと一緒に来たのですが逸れてしまって」彩さんは困ったように眉根を寄せる。

儚げな雰囲気が可愛らしい。

「よかったら何か一緒に飲みませんか？って、言っても女性の私がお誘いするのは可笑しいですかね」私が照れて言うと彩さんは「ええ、喜んで」と言って嬉しそうに微笑んだ。

私の中に自分と同類の匂いを感じ取ったらしい。

「何か、飲み物取ってきますね。アルコールは大丈夫ですか？」もしかして未成年かもしれないと思い尋ねる。

「あまりお酒は得意ではありません」

「ではソフトドリンクをお持ちしますね」私はウキウキした足でバーカウンターへ向かう。

どうやら可愛らしい友達が出来そうだ。