会場はホテル内にあるイタリアンレストランだ。本日はお店を貸し切って立食形式のパーティーとなっている。
広々とした店内の中央部分は円形の大きなバーカウンターになっており、お洒落で洗練された雰囲気だ。
テラス席も解放されて、着飾った人々が楽しそうに談笑している。
中には外国からのお客様も多く見受けられ、英語が出来ない私はギクリとした。
葛城と手を繋ぎながら、窓際に設けられた主賓席へと挨拶に向かう。
その中に見知った姿が見つけた。「お爺ちゃん!」私は笑顔で駆け寄っていく。
「おお、遥、今日は一段とお洒落をして可愛らしいなぁ」
「ママの着物なの。昔お爺ちゃんが買ってくれたものよ」
「どうりで見たことのある着物だと思ったよ!」
厳格と言われているお爺ちゃんが嬉しそうに目を細めている姿を見て周囲の人達はギョッとした顔をしている。
私が四葉銀行頭取の孫だと、バレてしまっただろう。
「ありがとう」私はテヘっと笑った。
「小森頭取、ご無沙汰しております」葛城は折り目正しく一礼する。
「遥とは上手くいっているようじゃないか」お爺ちゃんは私達の繋がれた手に視線を向けた。
葛城はハッとした様子で慌てて手を離す。「こ、これは失礼致しました」
「まさか、私の鞄にガマガエルを入れた悪戯坊主が立派な青年になるとはな」
葛城の卑劣な悪戯を、お爺ちゃんもしっかり覚えていたようだ。私がクスリと笑うと葛城肘が小突く。
お爺ちゃんは微笑ましい様子でその光景を眺めていた。
「でもまぁ、大変なのはこれからだ。精進しなさい」
「ありがとうございます」と言って葛城は再び深々と頭を下げる。
その横顔はとても精悍で誠実そうな青年に見えてしまう。
遥、と言ってお爺ちゃんは私に視線を向ける。
「彼はこれから日本経済を背負って立つ存在になる。きちんと支えてあげなさい」
私にそれが出来るのだろうか。
広々とした店内の中央部分は円形の大きなバーカウンターになっており、お洒落で洗練された雰囲気だ。
テラス席も解放されて、着飾った人々が楽しそうに談笑している。
中には外国からのお客様も多く見受けられ、英語が出来ない私はギクリとした。
葛城と手を繋ぎながら、窓際に設けられた主賓席へと挨拶に向かう。
その中に見知った姿が見つけた。「お爺ちゃん!」私は笑顔で駆け寄っていく。
「おお、遥、今日は一段とお洒落をして可愛らしいなぁ」
「ママの着物なの。昔お爺ちゃんが買ってくれたものよ」
「どうりで見たことのある着物だと思ったよ!」
厳格と言われているお爺ちゃんが嬉しそうに目を細めている姿を見て周囲の人達はギョッとした顔をしている。
私が四葉銀行頭取の孫だと、バレてしまっただろう。
「ありがとう」私はテヘっと笑った。
「小森頭取、ご無沙汰しております」葛城は折り目正しく一礼する。
「遥とは上手くいっているようじゃないか」お爺ちゃんは私達の繋がれた手に視線を向けた。
葛城はハッとした様子で慌てて手を離す。「こ、これは失礼致しました」
「まさか、私の鞄にガマガエルを入れた悪戯坊主が立派な青年になるとはな」
葛城の卑劣な悪戯を、お爺ちゃんもしっかり覚えていたようだ。私がクスリと笑うと葛城肘が小突く。
お爺ちゃんは微笑ましい様子でその光景を眺めていた。
「でもまぁ、大変なのはこれからだ。精進しなさい」
「ありがとうございます」と言って葛城は再び深々と頭を下げる。
その横顔はとても精悍で誠実そうな青年に見えてしまう。
遥、と言ってお爺ちゃんは私に視線を向ける。
「彼はこれから日本経済を背負って立つ存在になる。きちんと支えてあげなさい」
私にそれが出来るのだろうか。

